となりの経営工学科

現役早大生が経営工学について紹介しています。その他数理科学、学内行事、就活、オススメの本についても書いています。

コミュニケーション能力を考える

お久しぶりです。

気付けばゴールデンウィークも終わり、五月半ばに差し掛かっています。新年度が始まってから約40日が経過しましたが、皆さん新生活には慣れましたか?

 

さて、今回の記事では

「コミュニケーション能力とは何だろう」

というテーマについて考えていきたいと思います。

 

まずは次の画像をご覧ください。

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就職活動において、また社会・仕事においてコミュニケーション能力がいかに重要視されているか分かります。2位の主体性から20ポイント近く高い数値になっています。

この数値に不安を感じる人もいるのではないでしょうか。

「私は人見知りで…」とか「俺コミュ障だから…」という人、結構多いですもんね。

しかし、こうは思いませんか?「そもそも、コミュニケーション能力の有無・優劣ってなに?」「何を基準にしてるの?」「どうやって測ってるの?」などなど。

 

この記事ではこれらの疑問に私的見解を提示しつつ、就職活動で重視されるコミュニケーション能力について考えていきたいと思います!

 

 

ちょっと整理

本題について考え始める前に、前提条件を整理しておきましょう。

本記事で扱うコミュニケーション能力は、就職活動で評価される能力のみに限定します。交友関係やビジネスにおける要素には踏み込みません。

また、ここから先書く内容は、私見100%です。どっかの本やブログに書いてあったわけではありません。

そして、「コミュニケーション能力」を就職活動で評価される能力(つまり本記事で定義する能力)、「コミュ力」を我々が普段使うような意味での力、と使い分けます。(簡便さを優先して表記で意味を区別するだけです)

 

以上を踏まえて進めていきます。

 

所謂コミュ力とはちょっと違う

さて、まずは「コミュニケーション能力」と「コミュ力」の違いについて考えてみたいと思います。

 

私達が普段「コミュ力」という言葉を使う時、それは「初対面の人と(誰とでも)すぐ仲良くなれる」「口が達者で会話をしていて飽きない」というような能力を指す場合が多いです。

この力、あるに越したことはありませんが、上の画像から読み取れる「ほぼ全ての企業が学生に要求している能力」とは考えにくいでしょう。もしそうならば、大学生総お友達社会か超就職氷河期になってるはずです。

面接官とお友達になったり、面接官と楽しいお話をしたりすれば内定がもらえるわけでもありません。(少なくとも必要条件ではない)

 

では、企業が重要視するコミュニケーション能力とは何なんでしょう。

私は受け答え、つまり意思疎通の力だと考えます。

 

コミュニケーション能力とは意思疎通能力

学生必須のコミュニケーション能力とは「話で人を楽しませる力」でも「人と仲良くなる力」でもなく、適切に意思の疎通が行える力です。

 

なぜこの能力が重要視されるのでしょうか。

それは、仕事や組織が人間同士の関係の中で、人の営みによって成り立っているからだと思います。

逆に単純作業や日雇いの仕事を考えてみると、他人とコミュニケーションをとる機会が少なく純粋な労働力を必要としていることから、これらの業務における意思疎通能力の重要度は低いと分かります。

研究開発職など圧倒的な技術力が要求されるような仕事であれば、コミュニケーション能力の重要度は相対的に低くなるでしょう。

 

さて、コミュ力が大事な場面(例えば接待とか?)は「特技:人と仲良くなること」の一部コミュ力お化けに任せるとして、殆どの社会人に”適切にコミュニケーションが取れる力”が求められています

適切なコミュニケーションとは何でしょう。

ざっくりいうとちゃんと話せる、ちゃんと聞ける、ちゃんと受け答えが出来ることです。ここでは更に少し細かく考えようと思います。

 

コミュニケーション能力もとい意思疎通能力は以下の要素で構成されているとしましょう。

  1. 伝える力
  2. 聞く力
  3. 答える力

各項目の意思疎通能力への寄与度を★5段階で表していきたいと思います。

 

伝える力

伝える力は、話し方と話す内容に大別できると思います。

話し方では以下の二つが重要です。

  • 視覚的情報 ★★☆☆☆
  • 聴覚的情報 

視覚的情報とは、話す姿勢や表情の事です。やはり横柄な態度や気怠そうに話すのは対人関係においてよくありません。相手の目を見て話すこと、笑顔で話すこと(好意的な印象を与えるような表情)は大切ですし、背筋は伸びていた方が良いですね。

そのほか、状況にもよりますが身振り手振りがあった方が分かり易かったり飽きなかったりします。

聴覚的情報とは、声の大きさ・明瞭さ、話すスピード等です。また、はきはきと喋る方が好ましいと言えます。

 

話す内容とは以下の二つです。

  • 話の論理性   ★★★★☆
  • 話の分かり易さ ★★★★★

面接という限られた時間で必要十分な情報を伝えるために、これらの要素はとても大事だと言えます。言い換えると「納得感がある」とか「聞いていて腑に落ちる」とか。

結論から述べる、簡潔に話すことはとても大切です。

また、分かり易さは、言葉選びとも関係してきます。難しい言葉を多用するのも良くないですし、俗っぽい表現を用いるのも不適切でしょう。思わぬ減点、誤解を招かないためにも表現・言葉選びに気を付けましょう。

ところで、ある人事の方から聞いたお話では、面接官は履歴書や面接を通じて学生の語彙力も見ているそうです。同じ言葉の言い換えを工夫するなどして教養の高さをアピールするのも手ですね。

 

聞く力

聞く力は以下の3つに区別されます。

  • 聞く姿勢  ★★☆☆☆
  • くみ取る力 ★★☆☆☆
  • 要約する力 ★★★★☆

聞く姿勢とは、相手に「私はあなたの話を聞いているよ」と体で表現することです。基本的には話す姿勢と同じですが、相槌などあるとよりそれが表現できるのではないでしょうか。

くみ取る力とは忖度の一歩手前、相手の話からその言わんとしていることを正しく理解する力です。この力が秀でていると、会話の流れから”何を見ているのか”推察出来たり、質問の意図を予測できたりすると思います。いずれも相手の立場になって物事を考える事が重要となってきます。

要約する力は、相手の話を「つまりこういう事でしょ?」と分かり易くまとめる力です。面接という場ではあまり発揮する機会がないかもしれませんが、グループディスカッションなどでは役立つ力でしょう。語彙力の高さや頭の柔軟性が必要になります。

 

答える力
  • 聞かれている事に正しく答える ★★★★★
  • 話を広げる・情報を追加する  ★★★★☆

答える力で大切なのはこの二つだと思います。

「聞かれている事に正しく答える」って意外と難しくて、質問に答えているうちに本筋からそれてしまったり、結論にたどり着くまでが冗長だったりします。慣れないうちは意識的に、「結論→理由」の順序で話すとと良いでしょう。話全体で見た時に同じ内容を述べていても、話の順序で聞き手が抱く印象は変わります。

また、相手が聞いた事だけに答えるのではより良い解答とは言えません。話の流れから逸れない範囲で、自分から積極的に情報を追加していきましょう。これが上手にできてくると、面接の内容をある程度コントロールできるようになる気がします。返答に敢えて付け入る隙を残し質問を誘えるようになれば、きっと良い面接が出来るはずです。

 

ここまでのまとめ

コミュニケーション能力とは意思疎通能力です。

意思疎通能力は話す力・聞く力・答える力で構成されます。

 

意思疎通能力をどうやって測るか

 面接官が面接を通して主観的に評価する、というのが一般的ではないでしょうか。

グループディスカッションや何らかのワークを通して見る場合もあります。

また、ES(エントリーシート)でも一定の評価はできるはずです。時間無制限での作成が可能かつ文字数の上限が定められているという条件の下では、応募者全員の相対的な評価が可能です。しかしその作業の煩雑さから、ESでの意思疎通能力の測定は、足切としての機能しか果たさないと推測されます。

 

共通して言える事は、意思疎通能力は会話や面接の内容全体で総合的に評価されるということです。1つの質問や話の一部分で判断されるわけではありません。

ですから、ある質問に抜群の解答が出来たとしても、面接官は「この解答を練習してきたんだろうな」と思っているかもしれません。練習するべきなのは解答の内容ではなくその伝え方であるはずです。

質問に対する返答の内容も勿論大切ですが(これはミクロの視点)、その話し方や全体的な受け答えの的確さ(これはマクロの視点)はより重要だと言えるでしょう。

 

意思疎通能力の評価は人間の感覚に基づいて主観的に行われるため、被評価者の相対的な比較は困難なはずです。「コミュニケーション能力があるorない」、という振り分けしかできないため、この力のみに秀でていても内定に向けて大きく前進することはないと思われます。

コミュニケーション能力は必要条件ではあるが十分条件ではなさそうです。

コミュニケーション能力のボーダーを超えた先からは、資格や過去の実績、ガクチカ(学生時代に一番力を入れた事:私はこの言い方が嫌いです)の内容で差別化する必要があります。

 

意思疎通能力をどうやって鍛えるか

コミュニケーション能力の概要・重要さはある程度理解してもらえたと思います。

最後に少し、どうやったらその能力を伸ばせるかについて書きます。

 

意思疎通能直向上には、日常生活で意識的に上記の要素を実践することが重要です。反復により適切な意思疎通の方法を体にしみこませる必要があります。

なぜなら会話とは習慣的なものであり、特殊な場面(例えば面接)で意識的に気を付けていたとしても、どこかでぼろが出る可能性が高いからです。就活生を苦しめる”奇抜な質問”は、素のあなたを見ようとしているのです。答えそのものに大した価値はないのです。(思考の瞬発力を見たいのならば大喜利大会をやる方が合理的です)

取り繕わない思考のプロセスや答え方を見ることが目的です。

面接官はあの手この手で学生の”ありのまま”を探りに来る、という事には留意しておきましょう。

 

また、自分を客観視するのも良い手段です。話している自分・聞いている自分ん・答えている自分が他人にどう映るか。他者の視点を獲得することは意思疎通能力向上への近道になるはずです。

 

まとめ

久しぶり&真面目に書いたらものすごく長くなっちゃいました!

最後まで読んでくださった方、有難う御座います。

 

今回コミュニケーション能力というものについて考えたわけですが、色々な人事の方や社会人の方から聞いた意見がベースとなっている自論です。(諸先輩方も仕事においてコミュニケーション能力は必須と仰っていました。)

この記事が皆さんにとってのコミュニケーション能力を再考するきっかけとなれば幸いです。

 

今回はこの辺でお終いに!それではまた次回!