となりの経営工学科

現役早大生が経営工学について紹介しています。その他数理科学、学内行事、就活、オススメの本についても書いています。

【第2回】イノベーション概論~政策研究大学院大学副学長 角南篤さん~

連載第2回になります!

起業家マインドについてまとめてある第1回の記事はこちら

【第1回】イノベーション概論~VISITS Technologies 松本勝さん~ - となりの経営工学科

2回目の授業は虎ノ門ヒルズの Venture cafe tokyo で開催されました。おしゃれ!!

Venture Cafe Tokyo | Venture Cafe Tokyo - Connecting innovators to make things happen

因みにこの授業前には若手起業家によるパネルディスカッションが行われており、学生のみならず社会人の方も数多く参加されてました。

 

では、授業内容をまとめていきます!

 

 

ゲスト紹介

角南篤さん

『1988年、ジョージタウン大学School of Foreign Service卒業、89年株式会社野村総合研究所政策研究部研究員、92年コロンビア大学国際関係・行政大学院Reader、93年同大学国際関係学修士、97年英サセックス大学科学政策研究所(SPRU)TAGSフェロー、2001年コロンビア大学政治学博士号(Ph.D.)取得。2001年から2003年まで独立行政法人経済産業研究所フェロー。2003年政策研究大学院大学助教授、2014年教授、学長補佐、2015年11月より内閣府参与(科学技術・イノベーション政策担当)2016年4月より副学長に就任(現在に至る)。

その他、文部科学省 科学技術・学術審議会委員、外務省 科学技術外交推進会議委員、内閣府総合科学技術・イノベーション会議基本計画専門調査会委員、等。』

(出典:http://www.grips.ac.jp/list/jp/facultyinfo/sunami_atsushi/

 

長い!!何をやっているか一言で表すと

「政策の立場からイノベーションについて研究」

です。

イノベーションと言うと科学技術などを思い浮かべますが、理工系の我々とは異なる観点からイノベーションを見ている方になります。

 

経歴も変わっていました。

岡山で生まれ、中学生の頃にでカナダに剣道をやりに単身留学。

英語が分からないまま現地の名門高校に進学。

大学への進学ははエンジニアリング、ビジネス、外交で悩み、結果外交の道へ。

科学技術に興味を持ち、政策論とイノベーションをテーマに研究。

日本の野村総研に就職するも2年でやめてコロンビア大学政治学の博士を取得。

 

本当にユニーク人物です!

さて、角南さんはInclusive Innovationと持続可能な開発目標(SDGs)」について講義をしてくださいました。

その内容をまとめていきます!

 

本題

この章は3部で構成されています。

 

Disruptive & Inclusive Innovation

Disruptive とは「破壊的な」という意味です。Disruptive Innovation とはその名の通り、科学技術の登場による、既存の何かを破壊する影響力の大きいイノベーションを指します。例えば蒸気機関やインターネットのことです。

対して Inclusive は「開放的な」という意味を持ちます。では Inclusive Innovation とは何を指すのでしょう。

分かり易く言うと、仕組みの変化だそうです。ビジネスモデルのイノベーションとも言えます。UberAirbnbが良い例ですね。

このイノベーションは誰にでも起こすことが出来るんです。最先端の科学技術を生み出す必要はありません。社会課題の解決方法について真剣に考える。

使命感と熱意を持って課題解決に取り組めば、我々は誰でもイノベーションを起こすことが出来るのです。

もっと色々なものに触れて、世の中の問題点を見つけていきましょう。東京は恵まれ過ぎていて変化よりも現状維持の選択をしてしまいがちです。

「変えなきゃいけない!」と思うような環境に身を置く事こそが Inclusive Innovation への第一歩になるのでしょう。

 

Inclusive Innovation の良い例としてもう一つ、沖縄のコザにあるスタートアップカフェが取り上げられていました。興味深い場所です!

http://startup-cafe.okinawa/

 

Society5.0

f:id:industrialengineering:20181005184907p:plain

 

アベノミクスの重要なテーマでもある Society 5.0。Industry 4.0 から生まれる社会の事を指します。

Society 5.0 - 科学技術政策 - 内閣府

 

Society 5.0 で実現される社会。それはどんな社会なのでしょうか。Industry4.0 との具体的な違いは何なのか。それはこれから、われわれの手で作っていくのだそう。頑張りましょう。

 

ちなみに定義はこんな感じ。

イノベーションで創出される新たな価値により、地域、年齢、性別、言語等による格差がなくなり、個々の多様なニーズ、潜在的なニーズに対して、きめ細やかな対応が可能となる。モノやサービスを必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供されるとともに、社会システム全体が最適化され、経済発展と社会課題の解決を両立していける世界。』

結構ふわふわしてるな~、なんて個人的には思っちゃいますが、日本が打ち出したこのコンセプトには、世界中から期待が寄せられているそうです。

 

ところで、赤字部分が JIT(Just In Time)の思想と共通する部分ですね!全体最適とかも経営工学と関連があるワードです。すごいぞ経営工学!(無理やり感)

 

SDGs

SDGsとは、『持続可能な世界を実現するための17の目標』です。(出典:SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

ãSDGï½ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

 

恥ずかしながら私はこの授業を受けるまでこの言葉を知りませんでした。

かつてMDGsという途上国を対象にしたプロジェクトがあったそうです。これが成功したので今度は世界規模での課題解決に取り組む運びとなっただとか。

f:id:industrialengineering:20181005185455p:plain

最初の画像がSDGsのもので、真上の画像がMDGsの物になります。課題の内容が異なっている事が読み取れますね。

勿論日本もSDGsに貢献しようと取り組んでいます。しかし日本には資源がありません。ここでSociety 5.0が再登場。日本は科学技術イノベーションSDGsに寄与しようとしています。

それを実現する鍵が Inclusive Innovation というわけです。3つのキーワードが全て繋がりましたね。

Inclusive Innovation は日本の発展を助けるだけでなく世界の課題解決にも貢献するのです。世界中が日本のSociety 5.0に期待するのも納得ですね。

 

おわりに

イノベーションは確かに大切です。でもイノベーションを起こすことが目的ではありません。大事なのは社会課題を解決することだと思います。イノベーションはその手段にすぎません。

 

私達はイノベーションの起こし方を学ぶよりも前に(ましてや徒に起業するよりも前に)、社会に目を向けて本当に解決しなければならない課題は何なのか、ちゃんと考える必要がありますね。

 

今回はこの辺でお終いに!それではまた次回!