攻略!早稲田大学・理工学部の入試対策法~数学編~
この記事は受験生向けです。
私は大学1年生の4月から塾講師のアルバイトをしています。自身の大学受験と、塾講師の指導経験を活かし、早稲田大学の3理工学部を志望している学生に向けて、入試対策や受験勉強のアドバイスなどを紹介できればと思います!
このブログは経営工学に関する情報が中心ですが、入試問題はどの学部でも共通ですので、経営システム工学科以外を受験する予定の方にも役立つ内容になっていると思います!(受験科目などの制約はありますが)
それでは早速本題に移りましょう。
基本情報
早稲田大学の理系学部は、基幹・創造・先進に分かれています。
入学試験は基本的に、数学、英語、理科(2科目)で行われます。私立大学で理科2科目で受験しなければいけないのは、早稲田大学と慶應義塾大学だけです。
理科2科目は物理・化学の組み合わせが基本ですが、以下の学科を受験する場合は「物理・化学・生物」から2科目選ぶことが出来ます。
- 基幹・学系Ⅰ
- 基幹・学系Ⅲ
- 先進・応用化学(化学必須)
- 先進・生命医科
- 先進・電気情報生命工
入試問題分析と入試対策
まずは入試問題について問題構成や出題傾向を分析します。その後に入試対策や勉強方法などに関して個人的見解を述べていきます。
なお、分析や対策については、駿台予備校や河合塾などの講評をかなり参考にしています。
試験情報
試験時間:120分
問題構成:5題120点。完全記述式。
入試分析
詳しくはこちらを読んでください。私の分析よりも駿台の方が(たぶん)信用できます。
数学の試験で気を付ける事
まずは早稲田の数学で抑えるべきポイントについて解説していきます。
記述式
早稲田の数学の特徴と言えば、記述での解答です。慣れが重要な記述式、特に私立理系専願の人は強く意識する必要があると思います。MARCH以下の数学(慶應でも一部)は穴埋め式の問題が多く、最終的な答えが合っていればオッケーというような採点方式になっています。答えが出れば満点、書けなければ0点、分かり易いですね。
一方で記述式の数学では、最終的な答えが出ずとも、部分点を貰うことが期待できます。満点か0点かではありません。早稲田理系入試の数学では大問が5つ出されますが、全て記述式での出題になります。解答を記述式で書くことに慣れているか否かで得点が大きく変わる可能性があります。
また、記述式に慣れていないと苦しい戦いになるかもしれません。早稲田の理系は国立と併願する学生が多く、合格者の多くは記述式の答案に慣れ、部分点の取り方を知っています。同じ答えでも答案の書き方ひとつで得点が変わりかねないので、日頃から記述式を意識した答案づくりを意識しましょう。
解答を記述する際には、日本語での説明が重要となります。(問題にもよりますが)計算部分を事細かに書く必要はありません。むしろ答案の流れや計算の方針を言葉で説明する必要があります。はじめのうちは模範解答をお手本に、筋の通った答案を目指しましょう。記述式の対策には、自分の書いた答案を誰かに添削してもらうのがオススメです。問題を知らない人が読んでも理解できる解答が目標です。
勿論、最終的な答えを出すこと(完答すること)は重要です。部分点の取り方を習得しても、完答することには拘ってください。
時間・得点配分
5題120点満点の問題を120分で解かなければなりません。1問にかけられる時間は平均して24分です。
簡単な問題・得意な分野であれば余裕があり、難しい問題・苦手な分野であれば厳しい時間設定だと思います。
早稲田の数学では簡単な問題を素早く・確実に得点し、難しい問題に時間をかけ(部分)点を稼ぐことが重要になります。
簡単な問題は20分以内で完答し、難しい問題は30分ほどの時間で完答もしくは部分点を狙うのが良いと思います。
難易度と分野
問題の難易度と得意不得意も合否を分ける重要なポイントです。時間配分や得点の戦略にも密接にかかわります。まずは、苦手分野をなくすことが大切です。早稲田の数学には特に。記述式の解答では得意不得意の差がより顕著になります。
なぜ難易度と得意不得意が合否を分けるのかというと、
- 苦手分野が容易な問題で解けなくても周りと差がつかない
- 得意分野が難問で周りと差をつけることが出来る
上記の場合には良いですが、
- 苦手分野が難問で全く点が取れず周囲と差がついてしまう
- 得意分野が簡単な問題で周りと差がつかない
こういう状況になってしまうと、合格のハードルは一気に上がってしまいます。
難易度と分野に関する出題の組み合わせは様々ですが、得意を伸ばすよりも苦手をつぶす方が、点数の底上げが期待できます。少しでも合格の確率を上げたいのであれば、まずどの分野でも典型問題・標準的な難易度の問題は確実に解けるようにし、その上で得意分野を伸ばすのが最善になります。苦手を無くすことから始めましょう。
苦手を無くしたら得意を伸ばしましょう。得意分野が3つくらいあると心強いですね。詳細は割愛しますが、個人的なオススメは「場合の数・確率」、「軌跡と領域」、「極限」です。
そして、目の前の問題の難易度を正しく評価できる能力も重要です。その問題が簡単なのか難しいのか、分かりますか?
これが出来ないと難しい問題にいつまでも時間をかけてしまい、簡単な問題に着手できないまま時間が経過するという最悪のケースがに陥ってしまいます。これを回避するためには問題の難易度を正しく評価できる力を身に付ける必要があるでしょう。
問題の難易度を見抜くのには、解答の展開をある程度予測したり、正しく方針を立てる能力が重要になります。これらの力を養うには、入試問題をたくさん解くのが近道です。経験を積みましょう。
解答戦略
記述式に慣れ、苦手を潰したらいよいよ入試問題です。
試験が開始されたらまずは全ての問題に目を通し、各大問を大まかに評価しましょう。その問題は得意分野か否か、解けそうか否か判断します。
一通り完了したならば、簡単そうな問題から解きにかかりましょう。まずは1問完答することで、心を落ち着ける事が大切です。難しい問題から始めていつまでも答えが出ないと焦ってしまい、集中できなくなる悪循環に陥ってしまいます。
ちょっと待って。入試問題には、簡単そうな見た目でも解き始めると見かけによらず難しい問題が結構あります。解き始めて5分経ったけど前進しない場合、最初に立てた方針が間違っている、もしくは問題の評価そのものが間違っている可能性が高いです。一旦退いて他の問題に移ることをお勧めします。
基本的にはできそうな問題から解いていきます。5題のうち難問は多くても2つ、3対上は解ける問題が出てきます。そのなかで得意な分野・解けそうな問題から順々に解いていきましょう。
時間の意識は大切ですが、1問の解答時間に固執することはありません。1問24分はあくまで目安です。
入試戦略
数学で何点取らなければならないか、自分の数学・英語・理科の学力バランスをもとに、合格のための戦略を練りましょう。模試でC判定以下ならば、まずは合格最低点+10点を目指すのが良いかと思います。
基本的に全科目5割で合計180点、あと少しで合格ラインです。ここからあと20~30点(学科によっては40点)、どの科目のどの分野で稼ぐか考えていきましょう。
数学について考えていきましょう。
数学が得意ならば4完・90点以上を目指しましょう。合格がぐっと近づきます。他の科目で多少の苦手があっても安心できる点数です。
数学力が普通だと思うのならば、3完1半以上が目標になるかと思います。72点(6割)以上は取りたいところです。2完3半以下だと少し厳しいかもしれません。他の科目は5割を下回らないようにしましょう。
数学が苦手ならば、まずは2完2半を目指すところから。数学5割のラインは死守したいです。その上で他の得意科目でカバーしなければなりません。
勉強方法
まずはレベル別にオススメの問題集を紹介していきます。
基礎から
「公式や定理に自信がない…」
という人は焦らずに基礎から復習しましょう。
基礎の復習に必要なのは、基本的な知識・公式を網羅しつつ、教育的な問題が掲載されている問題集です。
私のお勧めは『チェック&リピート』シリーズ。
こちらの問題は公式の確認→演習がすぐにでき、問題のレベルも基礎から標準で構成されているので、数学が苦手な人でも頑張れる問題集です!
ここのレベルは「覚えた知識を適切に使えるようになったら」卒業です。
次のステップに進みましょう。
標準から
「基本的な公式は大丈夫、入試問題を解けるレベルまで一気に伸ばしたい」
という人にはやっぱり青チャート
各単元の典型問題を多数収録しており、漏れ・隙のない数学力が身に付きます。
受験生の中には青チャートを侮っている人も多い気がしますが、青チャートをしっかり解けるのであれば、早慶数学で合格点も充分に狙えます。
フォーカスゴールドもお勧めできます。ここは好みの問題ですね。
青チャートに挫折してしまった人には『大学への数学』シリーズがオススメです。
問題量が少ないかわりに1問1問の質は高く、非常に教育的な問題集となっています。
また、数1、数A、数2、数B、数3(微積)、数3(曲線)、と細分化されているため、苦手分野だけ重点的に演習したい人などにもオススメ出来ます。
青チャート、大学への数学、両者はタイプとしては真逆なので、自分の性格や勉強スタイルを考慮してチョイスすると良いでしょう。
「典型問題ならば問題文を見て方針が立つ、使う知識のあたりがつく」
レベルになったら次のランクの問題集に進みましょう。
さらに上のレベルへ
「数学の標準問題はOK、数学で周囲をリードしたい」
という人には次の3冊の問題集がオススメです。
まずは、『やさしい理系数学』
タイトルと中身が一致していないことで有名な問題集です。
選び抜かれた難問が収録されており、思考力を鍛えることが出来ます。
こでを使いこなせば、合否を分ける問題をモノにできる力が身に付くでしょう。
姉妹本に『ハイレベル理系数学』というものがありますが、こちらはやさしい理系数学が物足りない、数学強者向けの問題集です。
続いて、『理系数学 良問のプラチカ』シリーズ
プラチカとはイタリア語で”練習” という意味で、厳選された良問で効率的なトレーニングを積みたい人にオススメの2冊です。
やさしい理系数学よりも量が多く、標準ベレルから難問まで幅広く掲載しています。
難しめ問題集の最初の1冊に向いています。
数1A2Bと数3で分かれているので注意が必要です。
最後に泣く子も黙る『新数学スタンダード演習』
量・レベルとも非常に高く、生半可な気持ちで手を出すと痛い目に合います。
難しめ問題集の導入には向いてないですが、上2冊で満足できない場合の処方箋はこの1冊!
数学に自信があり、更に高みを目指したい人はこの問題集にチャレンジしてみてはどうでしょうか。
勉強計画
勉強計画を立てるのは長い受験生活を乗り越えるために有効です。勉強の記録だけでなく計画を立てることで、目標とやらなければいけない事、目標に対する進み具合が明確になります。そうすれば受験の不安や焦りが和らぎます。月毎、週毎、日毎にやることを決め、学習の管理が出来ると良いでしょう。
計画は修正するものです。当初立てたものを頑なに守ろうとするのではなく、自分の状況に合わせて細かく変更していくのが継続のコツです。
ここからは高校3年生のスケジュールを想定して、数学の勉強の進め方について紹介していきます。
4月~7月
基礎固めの期間。易~並程度の問題集を用いて公式や定理を覚え、使えるようになりましょう。学習した知識は使わないと定着しません。教科書(参考書)を読む→問題演習、の流れを繰り返して徐々に成長していきましょう。焦りは禁物、1度勉強しただけで覚えられる人はごくわずかです。身に付くまで辛抱強くやりましょう。
既習分野の苦手・知識の漏れはこの期間になくすのがベストです。余裕があるのならば未習範囲を自主的に進めると秋以降楽になります(公立生は特に)。
8月(夏休み)
苦手分野を潰す・得意を伸ばす期間。現役生の山場の一つです。天王山とか言われている通り、ここで頑張ることが出来れば大きなアドバンテージになります。
苦手分野があるならばこの期間に潰してしまいましょう。ラストチャンスだと思ってください。得意分野はレベル高めの問題集や入試問題にチャレンジすることで、実戦力を鍛えるのが良いと思います。
受験校が決まっているのであれば、抑え校の入試問題から順次解いていくと良いでしょう。第一志望の問題を1度解いてみるのも、目標との距離を測れることが出来るので効果的です。
遊びすぎも良くないですが、根を詰め過ぎるのも良くありません。最低でも週に半日程度はリラックスできる時間を設けるのが良いと思います。受験勉強はあと半年くらい続くのですから…
9月~12月
入試に備える期間。夏までの基礎をベースに、難しい問題にチャレンジしていきましょう。学校行事が忙しく、思ったように勉強時間が取れないかもしれませんが、焦りは禁物です。着々とやるべき事を進めましょう。
この時期は過去問をガンガン解くべきです。過去問演習の中で見つけた課題・苦手分野、不安な単元については教科書・問題集に立ち返り、面倒くさがらずに復習することが大事です。過去問と参考書の反復横飛びがこの時期の基本になると思います。次第に復習の時間を減らすことが出来ると良いですね。
1月~受験日
最終調整の期間。早稲田の入試は2月の中旬ですが、それまでにもセンター試験、私立大学の受験がありますね。体調管理には気を配り、何れの試験にも万全の体調で臨む事を心がけましょう。実際の入試本番は想像以上に体力を使います。休養と勉強のメリハリを付けましょう。
まとめ
この記事の要点を振り返ってみましょう。早稲田理工の入試で重要なのは、
- 記述式の解答に慣れる
- 問題の難易度を正しく評価する
- 簡単・得意な問題を素早く解き、難問に時間をかける
- 苦手分野を残さない
です。そのほかにも勉強計画を立てたり、自分なりの戦略をもって試験に臨むのは、全ての入試に共通するポイントです。
受験勉強はつまらないかもしれませんが、目標に向けて努力するこの経験は必ず活きるはずです。頑張りましょう!
英語についてはこちら
industrialengineering.hatenablog.com
今回はこの辺でお終いに!それではまた次回!